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「おすそわけ」暮らし

ピンポーン。

玄関のチャイムが鳴ります。

物騒な世の中ですから、きちんとモニターでチェックして。

あ、ご近所さん。

「はいはーい」

家事の手を止めて、玄関へ。

「これ、たくさん貰って食べきれへんから、良かったらもらって!」

「わぁ。ありがとう!うちも、さっき、畑から白菜とってきたんよ。いらん?」

「えーの?ほな、今日はお鍋やなぁ」

「うちもお鍋やねん」

なんて会話は、都会ではもう過去のものなんですね。

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我が家では、この会話は日常茶飯事。
昨日のお裾分けを並べてみたら、こんなにたくさん。

日曜日には、鯛を12匹もいただいて、鱗まみれになりながら下処理をしたら、煮付けと塩焼きに。

なんて贅沢な食卓なんや〜と。
家族みんなで、ありがたく頂戴したのでした。



「おすそわけ」で暮らすことを知ったのは、この物語。

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おソノさんに、宅急便をはじめたいと相談をしたキキは、料金をきめるのが難しいわねぇ、と言われてしまいます。

「それでしたら、ほんのおすそわけでけっこうなんです」

とキキは答えるのですが、おソノさんには、こう聞かれてしまいます。

「えっ、なに?それ」

そこでキキは、魔女はそうやって暮らしていると話し、こんな関係を「もちつもたれつ」と言うのだと説明するのでした。

「そういえば……そんなことば、あったわねぇ。でも、それじゃたりないでしょ?」

「いいえ、あたしたち、あまりいろいろなものいりませんから。洋服もこのとおりだし、食べものもすこしでいいし……なければないようにやっていくつもりですから」

なければないようにやっていく。

それは、暮らして行くことの醍醐味。
だからこそ、工夫が生まれるのだと思います。

黒いワンピースだけで生きていくと決めたキキに、色とりどりのクローゼットが、すこし恥ずかしい私です。

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大好きな物語は、文庫本でも買っておいて。
いつでもお出かけに連れ出せるように。



by moominnmamma | 2020-02-11 15:39 | 魔女の暮らし

自然に、簡素に、おだやかに。心地よい暮らしと物語のある景色。ライター梨田莉利子の暮らしのブログです。


by 梨田莉利子